2015年、地方交付税の大幅な給付に伴いシティープロモーションという言葉がもてはやされ、さまざまな市町で動画発信が行われました。その後、その評価分析はされないまま忘却されている気がします。大量の税金投与はここでもまた広告・旅行代理店とコンサルに吸い込まれただけ?あの無数のくだらない動画は何だったのでしょうか?
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おもしろい観光動画は集客につながるのか?
当時作られたものは外国人が、そのまちを訪れて感心して帰るという構成が多かったと思います。インバウンド全盛でしたし、観光振興に加えて定住・人口増という、いったい誰をターゲットにしたものか意味不明でした。ましてや今日流の“刺さる”ものには到底届きませんでした。まちの認知度アップと集客は別。ましてや定住促進など…困難極まりない。面白ければ良いというものではありません。
「岸和田祭の配達人さん」
刺さるものは視聴も伸びます。岸和田に関してはだんじり(岸和田祭)関係のDVD製作が一つの産業化しており、YouTubeの影響で自由投稿が盛んとなるなかで、事故映像などが流布してしまいました。
なのでそのにぎやかな舞台の裏側で、だんじりを支える方々をとらえたルポルタージュを作りました。皆さんがわかっていながらにして発信してこなかった切り口であり、認知向上というよりは共感を得られたようで視聴数も伸びました。
「さなぎの時 令和二年九月十九、二十日 岸和田祭神賑(かみにぎわい)行事」
ご存じのように令和2年度の岸和田のだんじり曳行は自粛。映像投稿も激減するなか、あえてそのときの模様を動画にしました。「刺さる」を強く意識したうえで地元高校生やハンディキャップのある方々とのコラボレーションとしています。
「岸ぶら動画館」
https://www.youtube.com/channel/UCCwWC1Ghcq7MwjiBp4fmSiw/videos
行きたい、その人にあってみたくなる仕掛け
しかし、集客や参加という意味では「刺さる」とはベクトルが異なります。観光動画は面白ければよいではなく、視聴が行動につながる必要があります。それは地元産品を選んでいただくという意味でも価値があります。ではその処方はというと「全部見せない」に限ります。現地へ行きたい、その人にあってみたくなる仕掛けが不可欠です。
「チリメンモンスターのさがし方」
いろいろな施設が新型コロナ感染防止の観点でリモートで情報発信していることを否定するわけではありませんが、すべて見せてしまうと「理解・納得」さえもバーチャルで終わります。その場所へ行くまでの道中の記憶、逢いたかった人に逢えたうれしさ、学んだ充実感を取り戻したいのです。
なので「なんで?」というところで、お話を止めています。2019年に制作したものですが、すでにリモート講習出現などへの危機感を感じたうえで作りました。
「化石発掘!?大阪湾岸に恐竜時代を見た!アンモナイトをさがせ」
もしオンラインガイドツアーなどを実施するとしても「なんで?」は必要ではないでしょうか?その場合「事前学習教材」的なものを事前に郵送することによって、オンラインでも有償化ができるのではないかと考えています。
オンライン会議は無料であることに慣れてしまうと、消費が伴いません。テレビの「旅もの」を見ているのと同様になります。所得層の高い引退世代は訪問可能性はあるでしょうけど、現役世代、ましてや歴史や生物、建築などに関心の薄い方はまずは目的を持たないでしょう。下手をすると関心を持ってくれるマニアでさえも、足を延ばしてくれないかもしれません。
「大阪湾チャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UCmyEqgZyYLzza4sC3Z6uxeA/videos
旅行会社が売りたくなる、背中を押す
具体的な集客を望むなら、旅行会社が売りたくなる商材を作ることを優先するべきでしょう。もちろん、旅のスタイルによってその構成は変わりますが。少々長尺のほうがいいかもしれません。もちろんその場合、旅行会社の資料請求にこたえられるように宿泊施設や体験プログラムの販売マニュアルも準備しておく必要があります。
「まな旅サポート修学旅行」
2003年に制作した動画です。当時の新学習指導要領の方向性変更に伴い、ベネッセとJTBのコラボで体験的学習に事前事後の学習を組合す、現在の課題探求・解決型授業につながるエッセンスが見えてきます。
これに事前事後で学校と訪問先の間で、リモート授業を入れることで「刺さる」修学旅行の実施が可能になるのでは?
「大阪体験」プロモーションVP
1994年、USJができるということで、今では信じられないことですが「大阪の修学旅行が来る!」と予測されたため、いくつもの修学旅行体験プログラムを制作しました。その折のプロモーションVTRですが、この時すでにダウンロードできる事前学習教材も販売価格に含んだうえで生徒さんへ配布しています。
弊社としては現在受け入れは中止しましたが、143校8326人が利用してくれた記録があります。販売単価は@3,800円でしたが、ざっと考えると3,100万ぐらいの売り上げになったことになります。動画はある意味「武器になる」ことは重々承知です。
これからの観光PR動画とは
さて…動画サイトの勢いはますます増すでしょう。音楽や映画コンテンツの配信が有料化してくるうえで先鋭化が求められます。ではどういった手法が?という問いに対して、現時点ではお答えできません。じっくり練っている途中ですが、近々、実験を重ねた結果をお伝えしたいと考えています。
「重森三玲作庭、雨の岸和田城庭園“八陣の庭”国の名勝をロックで」
普通ならドローンで撮っておしまいでしょう。それではあまりにも勿体ない…重森三玲作庭“八陣の庭”。日本庭園は雨が似合うという持論の元、その場に行ってみたいという能動的な意欲を持っていただきたく、ワンショットで狙ってみました。
残念ながら…視聴数は伸び悩んでおります。
その他代表的な動画は「動画映像、CF。PuPAの世界観」こちらをご参照ください。
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