SDGs修学旅行なるものが動き出している。案の定、これまで体験型学習を繰り返してきた修学旅行付随産業でだ。弊社にも開発依頼が複数の旅行会社から来たが、もうこりごりなので全てお断りしている。百戦錬磨の修学旅行企画者として、少しこの件に触れておく。
コロナ下で死にそうな修学旅行業界
写真はすべて自分が開発した修学旅行商品で、本文とは全く関係がない。
さて、修学旅行商品の特性について簡単に紹介しておこう。旅行業界ではこれほどドル箱な商売はない。数百人の移動、2年以上前からの実行確約、前金…ゆえに一つの学校をターゲットにして複数の企業がプレゼンテーションを繰り返す。規模にもよるが保護者の積立金を活用したこの手法は、千万単位の取引になるからだ。しかし、コロナ渦のために3年前からストップしてしまった。
環境学習、総合的な学習、体験型…
時代と文部科学省に翻弄されるかのように、修学旅行は姿を変えた。私は企画提案者として国内、海外の商品開発に関わった。特にUSJが生まれた折、いわゆる「大阪体験」などに関わり、実施側に回る。そこでは現場の実情、学校のニーズ、生徒の反応に敏感に反応した。
その後、教育支援企業と旅行会社が共同事業を始めるなどして、総合学習対応商品が生まれてくる。当然ここでも“便利な運営会社”として弊社は好まれた。これだけで月7~800万の売り上げがあった(今はすべて遮断)。そしてお手伝いいただいた関連企業にほとんど還元した。
そのマーケットのうまみは離せない
ここからの問題なのだがコロナ渦の反動を取り戻すべく、修学旅行マーケットにSDGsをキーワードとして必然ではあるのだが、学校を取り込もうとしている。これ自体は良いことだろう。しかし現状を見ていると、従来の体験型修学旅行に少し手を入れてSDGs型と名乗りはじめた。
端的に表現すると、ラフティング体験にゴミ拾いを組み入れるとかそういった部分修正だ。ちゃんちゃらおかしい。そこまでして離せないのか?新しい動きは作れないのか?3年間何をやってきたのか?バスを何台も動かして大量消費を繰り返す修学旅行自体、SDGsと相反する。
修学旅行商品とは?
改めて修学旅行の重要性を考える。中学生、高校生の思い出はそんなもので提供されるのか?感動を呼ぶのか?旅行はすでに旅の感動を提供できなくなった機能不全に陥っている。
私が関与した修学旅行商品はパートナー団体、地域への還元に常に配慮し、生徒さんの学びに柔軟に対応できるようにして基盤を整えた。「便利でお得」な文化にはそんなゆとりはないのだろう。本当にやる気が失せる。
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