人生で「あなたに惚れています」なんて言うことは常識的に少ないと思う。私は2回話したことがある。最初は20歳のとき美恵子にだった。即時の返答はなかったのだが、その後数年間…一緒に暮らしもし、気が付けばどこかへ行ってしまった。愛してた。少しこのお話を書いておこうと思う。
無意味に近かった大学時代。
大学の授業は全くつまらなかった。夏季講習で質の高い授業を受けたためだろうか?新書一冊読めばわかるようなものを、一年間聞くのだ。ハッキリ言って授業出でず、いわゆるサークル活動の部室で一日過ごしていた。
まあ最終的には除籍になってしまうのだが、ここでの複数の女性との出逢いは価値があったと思う。2年浪人したわけだから、短大生の考え方などすぐに想像がつく。
そこで美恵子と出会い(タイガースが優勝した晩)「あなたに惚れています」と伝えた。彼女からは返事はなかった。今じゃないので写真も残っていない。長髪で唇の右上にほくろがあった。
その後学校をほったらかしてプラネタリウムやビーチや社寺なんかを美恵子と歩いた。よくあるパターンだが会社のクルマを借りて「能登半島一周」なんかもした。はじめて見た彼女のパンツルックに驚いた。
電車とフェリーで松山にも行った。一緒に暮らしていた場所が枚方の磯島茶屋町の文化住宅。京阪電車の路線沿いだ。クーラーはない。蚊が多くマイって窓を全開にして二人で眠っていた(すっぽんぽんですがな)のだが、何か路線のトラブルで目の前で特急(テレビカーね)が止まり、気が付けば乗客が私たちに凝視していた。
ATGの映画のような
青春だったのだろう、ATGの映画のような。
そして月日はたった。渡米するときに顔を見に行ったが、すでに私は対象外だった。
「何十年も前に自殺した」という
ここからが問題なのだが、数年前、そのサークルの同窓会があるということで新潟から知人が訪ねてきた。私がコリアタウンのどのまち歩きをしていると知り「娘の好きなアイドルグループグッズ入手したい」と。いろいろな世間話をして楽しく歩いたのだが、鶴橋から電車移動しているとき「美恵子はどうしている?」と聞いた。
「何十年も前に自殺した」という。
短い時間だが天満駅に着くまで泣いた。泣くしかなかった。彼女の人生に少なからず影響を与えたのではないかという気持ちがそうさせた。なんてはかないものだろうかと。
先日35歳離れた女性に「あなたに惚れています」と伝えた。どうしても美恵子の自殺が気になる。重なる可能性を恐れている。さて、どうしたものか?
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