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アウトドアならば、使うべきは応量器

日本の木製食器に強い関心を抱いたのは、この応量器がキッカケだ。もう30年ぐらい前だろうか?仏教の教えに端を発し、調べればしらべるほど奥が深い。大切な人と出かけるアウトドアで、私の必須食器になっている。

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収納できる利便性が目を引くが…

長いこと外で野外飯を作って食べていると、コッフェルやポリエチレンの食器が無味無臭で嫌になる。軍隊や飯盒炊ごうみたいだから。アルミは確かに収納性が良いため、機能性を求めるとそうなる。といって陶器さすがに重く、破損可能性がある。そこで漆器を選ぶのだ。曲げワッパしかり、重箱しかり、いにしえより日本人はそうしてきた。

漆器のハイエンドモデルといっていいだろうこの応量器、じつは仏陀による食の教え「行(ぎょう)鉢(はつ)」に端を発した思想体系なのだ。

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仏教、曹洞宗などの戒律に沿った食事作法

曹洞宗の食器とされ、私が知ったときには通販で取り扱っているところも少なく、京都の仏具専門店などからいろいろと教わった。その時点でポリエチレン製の応量器が“修行僧用”として売られていたことを覚えている。修行用と、実際に使うものは別なのだ。

カタチはすなわち作法であり、そこには「行鉢」という食への考え方が示される。仏陀の教えだからやはり自然、生き物との協調、人間同士の関わり方などが含まれる。粗末な食で足るを知り、今でいうエコロジックな観点でもある。作法は戒律として厳しく、曹洞宗ではおかずなど厳しく制限されている。ただ「行鉢」もう一歩踏み込んでヤヤコシイ。

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応量器に見える思想「行鉢」

応量器はもともと鉄鉢(てっぱつ)と呼ばれ、金属や石で作られた一生の食器だったという。つまり、人生の食器なのだ。ゆえにコンパクトに入れ子になっている。さらにこのいちばん外側の器は頭鉢(づはつ)とよばれ、食器には使わない。考え方は「仏陀の頭」として位置づけられる聖なるもので、生活に必要な最低限の食糧などを乞う「托鉢」をお受けする器なのだ。

自分の修行を振り返り、その成果がこの「頭鉢」で視覚化でき、食事は単なる食欲を満たす行為ではなく、大切な修行と捉えることで、食事を正しく頂くことを通じて生き方を見直す。それゆえに、ここには作った料理を盛ってはならない。

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使えるのは残り5つの椀

残り5つの椀のうち五の椀は粥、四の椀は汁物になる。汁物は豆腐程度の具で質素に頂くのがいいが、野外ではけんちん汁、豚汁ぐらいはいれてしまう。もちろん粥も、普通の白米であっても質素といえるだろう。

漆器は口当たりがよく、アルミなどと比べると美味しさがまるで違う。二杯飯、三杯飯と箸が進むが、まあ、ほどほどであるべきだ。

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3つの椀はその名の通り三菜で

三菜は、そのまま山菜として受け取り、近場の山野草を探したり、季節感のあるものを無人販売所で手に入れるなどが好ましい。ゴリの甘露煮なども許容範囲とみている。私の場合は「美山のフキ」を持参するケースが多く、実はこれと白飯、汁で腹いっぱいになれる。

明太子とかは、思想的にはなじまないと思う。食事が終わると一同、懐紙(キッチンペーパー)でふき取り、川の水で洗う。大切な方と食事を野外で楽しむ場合、こういった教えは流布したいと思うのだ。

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現在多くのメーカーが参入、人気商品に

いつのころからかアウトドア用品メーカーS社が、新潟の金属パーツがメインに関わらず、漆器の応量器を販売し始めた。悪いことではないが、しっかり応量器の思想は継がず、その機能だけを追い求めていた。まぁ、そんなものである。現在では多くのメーカーが参入し、人気商品である。ご家庭で使うのも、またいいかもしれない。

想定できるように外国人、特に欧米諸国からも注目をうけ、Buddha_bowlと呼ばれている。ただ、sushiなどがしっかりと浸透する現在までにどれだけ時間がかかったかを考えると、伝える側に凛とした姿勢が求められる。

食器をはじめ道具には、智慧が集結しており私たちの基層的な文化を表すものである。われわれ日本人がそれを怠って、突然Cool JAPANになるのはこりごりだ。だから私は山川草木を愛であるスタンスから、応量器はアウトドアで使う。

 

 

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