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第三次アウトドアブームはバブルとともに終焉

アウトドアブームというのは史実としてどうなのか?なぜにわが社は儲からないのか?そのあたりのについて連載しております。第三次アウトドアブーム、ターニングポイントとしてのPOPEYE創刊が昭和51年(1976)年。そこからバブル終焉までがアウトドア第三次ブームであったと解釈しています。その間の出来事についてお話ししましょう。

アウトドア以外企業からのマーケット参入

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写真は創刊直後のPOPEYE、PIONEERの広告ですね。だいたいどこのバカが、テントのなかでこれだけのラジオや録音機器をバックパッキングで持参しますか?非現実的なのですが、現在のグランピングに通じるものもあり、笑えますね。

アウトドア業界が変質を始めます。アウトドア市場が動いているから、異なったマーケットからの参入が始まりました。広告担当者は実際に同様のことを行ったとは考えられませんが、オーディオ機器市場はこの後もアウトドアマーケットと付かず離れずの関係になるわけで、興味深いです。

ライフスタイルの変化は周辺市場をも巻き込む

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こちらもPOPEYE。ハイテックは死語ですがITCと言いかえれば現在も同じですね。しかしこのファッションは…。ある意味「アウトドア」が一つの祝詞になり、そこに群がる商業構造と考えると分かりやすい。POPEYEとしてはそれで広告収入が得られるわけですので、どんどんへんてこりんな誌面企画が展開していきます。

「哲学」重視のアウトドア人間としては“それはないやろ”と冷ややかに、ななめ読みしておりました。しかし世間、マーケットとはそういうものです。

BE-PAL創刊で新風は吹いたのか?

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女性のバストアップを表紙に飾るなど、書店で見かけて腰を抜かした(当時私、中学生)BE-PALの創刊は、昭和56年(1981)。ヤマ系のoutdoorとは一線を画し、カジュアルな接点としての月刊誌の登場には胸が躍りました。

クルマ好き、釣り好き、ジョギング好き、かなり広範な読者が関心を向けたと思います。椎名誠、野田知佑、沢野ひとしなど、その後のアウトドアライター輩出にもつながります。多くの企業がアウトドアに参入し、広告を見るだけでも楽しめました。当時の紙面を見るとキャンプ場や、ちいさなアウトドアショップの広告もあり、そのほとんどが現在死滅していることが泣けてきます。

本紙では井伏鱒二、開高健、白土三平、植村直己…ヘンリー・D・ソロー、レイチェル・カーソン、イヴォン・シュイナードなどを紹介し、導かれるまま自分の哲学を作りました。しかし…

物欲のほうへ!?マーケットニーズに哲学は不要

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カタログ誌が重要な収入源となっていきます。決して悪いことではないのですが、哲学を順守するメーカーなどが埋没することで「哲学の希薄化」が進みました。現在のコンテンツビジネス同様で、出版社、代理店、メーカーが呉越同舟で文化をむしばみます。バブル期に進んでいますので、可処分所得は多い…。

ここで大きな問題になるのは、量販店でのアウトドアグッズ販売でした。ホームセンターで寝袋やテントが買えてしまう。この潮流には

1)パット出のチャネルを持つ企業がアウトドア用品を作る
2)それなりの会社も劣化(安価、しかもパクリ)した商品を作る
3)なんちゃって感覚でアウトドア市場に参入する

とうい現象が勃発し、実は現在にもつながります。

迷走を始めるアウトドアの哲学

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この時代に購入した道具…全て今も現役です。ブーツなど、特にドロミテはすでに三代目でソールの張替え(わざわざ米国へ送って修理。新品を買うほうが安い)回数はトータル7回ぐらいになるでしょう。

アウトドア用品とはヒトの命を左右するもの…そう考えています。それは鍋やカマとひとしく、一定のコンディションで働き、なくてはならないものなのです。それがアウトドアの哲学。一部だと思います。だいたい新製品など、数年に一つしか作りえないわけですから。

Popeye、BE-PALは最終的にここまではたどり着けなかった。簡単にいうと「精神性を求めるアウトドア」と、「トレンドとしてのアウトドア消費」が二分することにつながったといえるでしょう。ゆえに哲学系の弊社が儲からない原因が見当たりますね。

 

リバウンド的にアウトドア哲学を求める動きも…

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その後バブル期になり、特にスキー業界などはとんでもない状況になります。

総合保養地域整備法(リゾート法)施行、昭和62年(1987)が稼働状態に入り、リゾートという聞きなれない言葉に魅入られつつ国民は泳ぎ出しました。バブル期のアウトドアについてはまた機会があれば紹介しますが、実にばかばかしいものでした。

しかしマーケットはホームセンターとともに、古参メーカーが参入するなど一定の活性、定着を見せていきます。日常化するいった感じでした。そのなかで、「やっぱりちょっと違うやろ」という提案が…平凡社(マガジンハウス)からまた発生します。

この流れは大変興味深く見ておりましたが、バブル終焉とともに継続はされませんでした。そして…アウトドア業界の暗黒時代はこの後、長く続くのです。

・「アウトドアブームとは?POPEYE創刊まで」

アウトドアブームとは?POPEYE創刊まで

「バブルからリーマンショック、アウトドアブーム終わる」

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