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奄美世界遺産登録は変革のチャンス

2021年5月、ユネスコの諮問機関IUCNが「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」について世界遺産登録を勧告しました。素晴らしいことです。ここで注目すべきは奄美大島、徳之島のエリアです。それはあまりにも観光経済的視点から、沖縄本島、西表島とは異なるからです。

個性的な文化を強いられた歴史

奄美大島,徳之島,世界自然遺産登録

琉球支配から薩摩支配…沖縄諸島全体への歴史的な重課税はご存じのとおりです。西に向かうほど島嶼を蔑視させる政策は、地理的に海を隔てた階級制度で、内地のそれよりも過酷であったと思います。そしてそのなかで効率性、技術の共有化がはかれたように感じます。

特に鹿児島であって鹿児島でない奄美大島、徳之島の位置づけは非常に微妙であったと思います。それだけに多様な文化が根付いるのです。たとえば奄美、大島紬の泥染め…薩摩(および明治政府)支配の影響がここでは垣間見れます。

どこかでいつもつながる…島の文化、舟運

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鹿児島県立「奄美の郷」で見かけた“なんこ”。朝鮮の役から帰国した島津義弘がはじめたというお座敷あそびと紹介されていましたが、いやいや…私は高知宿毛で“はし拳”を習った、はし拳全日本選手権の元大阪代表です(泣)。宿毛では坂本龍馬が広めたことになっています。

考えるにポリネシアあたりが発端ではないか?一定数の人が集まって“潮待ちするときの暇つぶし”は博打に。そして宴会の盛り上げにつながったのでは?なお、高知のはし拳は日本酒ですが、奄美のそれは焼酎。船によるつながりは、常に南からやってきます。それを昇華させるのが、我が国の独自性。淡路島の人形浄瑠璃など、最たる例ですね。

観点を変えるとまた離島の文化は優れている。

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島嶼部の建築物はやはり面白い。普通はこういうものにはならんでしょうが…という構造物が、案外近いところに集中します。考えるにゾウの時間、ネズミの時間です。離島に住む野生動物は身体のサイズが小さくなり、一極集中して行動するといいます。

あたらしい文化(ここでは建築様式)が入ってくると、まずコピーし、高めていき、どこか競争論理が芽生えてきます。取材当時に宿泊したホテルはもうゴチック、和洋、そして神式混合、バロック、湘南、なんでもござれでした。また、それらが改築を繰り返され、重層的になっている点も見逃せません。

あと、伝統的な亀甲墓から和風、レンガをあしらった洋風、国籍に金箔文字などトレンドに柔軟な墓所。沖縄と鹿児島の間という、独自の文化が垣間見れるのです。

やがて悲しみも…実感できるサービスがある

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奄美大島に打ち上げられた、大量のプラスチックごみ。ライターは国籍を表します…ハングルが多いですね。ここでの展示はないのですが、漁具の投棄、漂着物は地元の漁業に深刻な打撃を与えているはず。

世界自然遺産に選ばれるわけであり、こういった事実を積極的に発信することはとても重要です。ちょっと控えめな展示は、奄美市立奄美博物館にて。シマが好きで若いころからよく出かけたのですが、どのシマへ行ってもそこには日本の縮図がみえるものです。

沖縄本島、西表島との決定的な違い

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板根(ばんこん)。徳之島に普通にあり、祠も設置されていました。アマミノクロウサギに関しても、保護対象になって慌てて対策をとっているわけですが、保護と侵入(観光)とを同時並行で進められたと思います。極端な選択ではなかったようです。

直行便が飛び出して、さまざまな離島観光の拠点となった西表島。希少種も話題ではありますが、観光公害の元祖ではないかと感じています。また、基地があるゆえ多様な国からの補助を得、肥沃化してしまった沖縄はいわずもがなです。基本的に両島とも大好きですが、今現在あまり訪問しようとは思いません。良い時代を知っていますので。

奄美大島、徳之島にマスツーリズムは似合わない

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徳之島の若い方が運営されている「茶処 あがりまた」。限界集落と呼ばれ、小学校が閉校されて約40年が経過した地に、地元食材を使うお店としてオープン。集落の人口以上の来店者もあるといいます(旨かった)。ほかにも移住者による新しいサービスも散見できます。

ただやはり、奥ゆかしい。大勢で押し寄せて、効率性を考えた…つまりバス移動でのマスツーリズムには不似合いです。レンタカーで直前に予約して、寄り道、迷い道しながらしかるべきガイドに出逢って、くわしいお話を聞くのに最適なのです。

あなたも感じるでしょう、日本の縮図を。

世界遺産登録は真の意味で価値がある

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徳之島のビーチには、早朝、牛の散歩で浜辺を歩く高校生がいます。牛は闘牛であり、高校生の「マイ牛」であるといいます。

コロナ渦下の世界自然遺産登録発表でしたが、大騒ぎになることもなく大変よかったのではないかなと思います。海外の世界自然遺産は、足を踏みいれることに大変厳しい人数制限やルールがあります。日本のように手放しで“観光客が来る”といって駐車場やトイレ整備を進めたり、ホテルを誘致するのとは真逆で、これがスタンダードです。

ガイドが充実し、観光客を受け入れるキャパが脆弱な奄美大島、徳之島。絶対的な、海という壁がある隔たれた島嶼。この島が世界スタンダードな自然遺産のお手本になるのではないか?そう信じてやみません。

 

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