旅行会社や各地の市町がオンラインツアーを提供していますが、それが実際の観光につながるかというと課題が山積しています。なぜそれを訴えるのかというと、単なる商業施設、企業と対面する消費者という関係性だけでは旅、観光の真の価値がつながってこないからです。ヒトが動く、交流、想像する…将来的なリアル来訪にむけてオンラインツアーには何ができるのかを考察します。
有料オンラインツアーの課題解消に向けて
これを受けて本論を進めます。
観光には寄り道、迷い道といったプロセスや何よりも「また来たくなる」驚きや動機づけが必要です。予想外のトラブルがトラベルであり、そこに交流や想像が生まれます。そういったものを生み出す課題解決の方向性…それをいくつかご提案します。
有料オンラインツアーは“現地に行かないよいう矛盾を持ちながら、可能性を秘めている”という現実について、お分かりいただけると思います。
プレミアム性。一緒に食べる、体験する
第一の方向性としてはおうちにいても一緒に食べる、体験できるなど、特にライブ発信であれば、その希少性、プレミアム感の発信が有効です。できれば「この人と一緒に旅をしたい」というような方によるご案内がベターです。
すでに日本航空さんのオンライン「定期便」は、その意味で成立しており参考になります。参加費5400円で泡盛や豆腐ようなど試食と“デジタルフライト搭乗券”なるものを同梱して参加者にお送りする。おそらく“出会ったようで出会ってないかもしれない”キャビンアテンダントが案内するというもの。
ビジネスユーズで沖縄などへ移動した方に対して、改めて地域の魅力発信することで次回訪問の動機づけはばっちりです。また、コロナ渦下での従業員利活用も兼ねています。zoom会議利用なので、残念ながら定員数は少数。それはまた、付加価値にもなりえるでしょう。
もう一つはサントリー山崎蒸留所の「山崎オンライン・ライブ」です。先の記事でも書きましたが試飲という手法は、案外オンラインでの楽しみが広がります。60分3,000円、少量の試飲ウイスキー、テイスティンググラス、セミナーツール(非売品)を同梱。定期開催ということから見ると、いわゆる工場見学の有料オンラインツアー化といえるでしょう。
これは各地の博物館や文科系施設でも応用可能ですね…ただし、優れたホストが不可欠にはなりますが。それぞれ少数の参加者でzoom会議システム利用ということから推測するに、参加者とのリアルなやり取りが加わることで、次回のリアル訪問が誘発されるでしょう。両社とも大人気…ということです。
参加できるをオンラインで。それは入り口に
弊社で構想しているzoom会議の生中継システムをご紹介しましょう。簡単にいうとzoomシステム自体をまち歩きに組み込むのです。スイッチャー(可搬式)にかなりの負担がかかるため、現実化しておりませんがリアル配信のやり取り自体をエンターテイメント化する考えです。
オンラインで仮想現実としての旅体験をお金を払って参加していただくわけですから、それなりのプレミアム感を演出せねばなりません。そしてそれをリアルな来訪につなげリピーターになっていただく。有料オンラインツアーにはそういった可能性がありえるのです。
簡単にいうとオンライン観光を経験した参加者が、地元のものでも知りえないような情報を学び、他の人を案内して歩くことができるような…これは新たな観光スタイルといえるかもしれません。
あ…
保険ととでも言いましょうか?オンラインツアー参加者には割引クーポンなど、必ず一緒に同梱せねばなりません。ご案内人(自分が参加した回の)直筆サインなどもあればベストですね。かなりの可能性で再来訪されるのではないでしょうか?
観光収益、サブスクにつながる可能性も
写真はガイド育成を事業化するうえで、以前にまとめたシラバスの一部です。その地域が好きな方々が独自の事業を作りらげるうえで、再発見、学びの構築は有効です。しかしなかなか現実的ではありませんでした。何度も講義に出席せねばならないし、気に入らない方々と机をあわせねばならない…。
いやいや、これをオンラインにしてみてはどうか?そこのあたりが有料オンラインツアー発展のカギになるとみております。ここまで見てきたように一過性の有料オンラインツアーでは、新型コロナ感染防止対策の一環でしかありません。しかし、この新しい扉を開いて事業化するとするなら“学びと旅”を取りまとめて考えることができると思われます。定期的な授業料収入は…サブスク構造であります。
この手法を用いるならば、基本的な受講料収入に加え「そこへ行かねばならない」、「その人に逢わねばならない」といった来訪需要も喚起できるでしょう。いいわば生涯ファンの育成です。
まとめとして…現時点の有料オンラインツアーは未発達なままですが、リアルな観光訪問に結びつけることを模索することで、新たな観光需要が見えてきます。疑似体験をバカにせず、正面から向き合う必要を感じます。引き続き、ご一緒に探求できれば幸いです。
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