コロナ渦下、思うように旅行ができないなか、旅行会社や各地の市町がオンラインツアーを提供しています。著しく落ち込む観光消費を穴埋めする一つの方法で、これまで無料で拝見できたプロモーション動画がオンラインツアーと呼ばれ、有料のものが増加しています。実は特に有料のほうですが課題が山積しているといえます。
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観光動画とあまり変わらない無料ツアー
観光動画は十数年前から一般的な手法であり、目的は観光地の認知度、好感度の向上です。実はドローンや撮影機材低価格化、そしてFacebookやTwitterなどでのSNS拡散しやすさに伴い、このジャンルは飛躍的に量産されています。YouTube系インフルエンサーなどが動いてくれると視聴回数は伸び、大きな宣伝効果をもたらします。
本当はテレビ局に取り上げてほしいのですが、今日あちらも遠方へは出かけませんし「移動自粛」が付きまといます。コロナの波が継続するなかで「旅行に行きたいけどイケない」方々のニーズがオンラインツアーという名前になったと理解していいでしょう。喜んでドローン飛ばしてますが「そんなん、くもじいがやってたわ」という印象もぬぐえません。
今のところ全く未知な有料ツアー
至極まっとうな考え方として「無料では観光消費につながらない」と、さまざまな観光セクターは考えた結果、有料オンラインツアーに行きつきます。しかし、普通にタダで見れる観光動画を有料化するのは極めて困難なのです。著名人の特別カットなどを入れるかしてファン層に発信するなど、実践されているところもありますが…。
現時点では土産物やグルメ、飛行機に乗れないともらえない記念品などを同梱して事前販売を試みます。しかしどうでしょうか?これはツアーについてくる商品が価値であって、ツアーは二の次となります。通販で商品を購入して、解説動画がついてきたことと変わりありませんよね。仮にそうだとしても、よほどの差別化価値がついてない商品でなければ検索さえもされないでしょう。マイナー観光地では非常に不利になります。
有料ツアーの可能性はライブ配信にあるのか?
では、その日、そのときでしか味わえないものを提供するライブ配信はどうかというと、その可能性はあるように感じます。もちろんお金を払ってでもタレントを連れてきて、zoom会議形式で行うなど。タレントさんが映像で食べているおいしそうなスイーツを事前に参加者に送付し、鑑賞しながら参加者が一緒に味わうといったイメージです。テレビの「旅もの」では不可能な世界です。
実は…日本酒販売などでこの実例は散見できます。ほかにも「料理長が教えるおいしいかにスキの作り方」といった有料ツアーが販売されており(もちろんカニ付き)実績を上げています。ただしやはり付加価値を付けたとしても数千円の視聴価格、どの程度の数量の日本酒やカニが売れているのかは想像できましね。
しかし音楽業界を見ると、方向性は見えてくる
小人数限定のリアルライブと同時に、複数のネット会議を組み合わせる成功例が生まれ始めています。それぞれ有料で、コンサートグッズやCDの販売ももちろんセットで。先日聞いた話では、このシーズンらしくブランケットまで同梱していた例もあるとか。
このあたりに有料オンラインツアーのカギがあるような気がします。花火大会とか桟敷弁当とセットで、この夏に販売される例が出てくるでしょう。それはお約束しておきます。
有料オンラインツアーの課題解消に向けて
さて…オンライン参拝とか墓参りが増加しているなか、その価値の変化に驚くわけですが、ここまで見てきたように現時点でのオンラインツアーはまだ観光活動につながっておらず、ここから新しいものが生まれてくるのでしょう。
しかし、観光行動とは消費だけではありません。そこには寄り道、迷い道といったプロセスや何よりも「また来たくなる」驚きや動機づけが必要です。予想外のトラブルがトラベルであり、そこに交流や想像が生まれます。そういったものを生み出す課題解決の方向性…いくつかのプランがあります。それまた次の機会にご紹介しようと思います。
お楽しみに。
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