コロナ渦下、越境もできない状態が続くと海や川の水辺にあそびに行く機会も増えるでしょう。そこで、親子でライフジャケットつけましょう!ということになるのですが、国土交通省が試験を行って安全基準への適合を確認したライフジャケットについている「桜マーク」。なんと教育施設においては、先日はじめてお目にかかったのですが…ちょっとこれがですね…
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海の学習施設で出会った「桜マーク」
海の生物観察イベントのお手伝いにて、ライフジャケット着用を含む安全管理部門をお手伝いしました。ここは最近設置された素晴らしい施設です。大勢の親子参加者に対応すべく、準備されていたライフジャケットに桜マークがついていました。
現地に入ってそれをお預かりし、チェックを始めると恐ろしい予感がいくつもありました。まず、子ども用とLサイズの大人用の2種類しかない。次にフロートの背中部分になぜか、穴が開いている。パッと見、カッコよく見えますが不信感が募りました。
装着時にサイドベルトが自分で締めれない(締める構造になっていない)、股ベルトも同様。それぞれ余ったベルトのはしを固定しにくく、かえってひっかかりやすい。
そもそも桜マークは船舶などを中心に設定されたものだという見方もありますが、海洋レジャーでも推奨されています。しかしこのライフジャケットは、危険誘発用具に映りました。
船舶、海洋レジャーにおいても…
フェリーなどに備え付けのもの、漁業体験で使われるタイプのもにも桜マークは付いています。学生さんなんかがよく使うのですが、一度これで海に浮かんでください。速攻でフロート部分が首にひっかります。たとえ腰ひもを舫(もやい)むすびにしていても細すぎます。このタイプに関しては以前から指摘しております。
「子どもたちにライジャケを!」とか運動も承知ですが、写真のようにポイポイ渡されて前チャックをしていれば安全…基本的にはそんな認知ですね。死にますよ。
何が重要なのかは下記動画をご覧ください。
お判り頂けたでしょうか?
身体にフィットさせなければ意味がない。
意味がないどころか、危険を増す可能性があります。身体に合ったサイズで、きちんと信用できるものを選ぶことが必須であり、着用時には少々窮屈目ぐらいの感じでフィットさせてください。そうでなければライフジャケットの機能は発揮されない、これは断言できます。
国土交通省の方々は、本当に着用して実験したのでしょうか?「よっしゃ、よっしゃ」で認証しているのはあるまいか?
水難事故は海、川で80%。
上のグラフは警察庁による「平成30年水難の場所別 死亡・行方不明者の割合(n=692人)」です。まさにこれから水難事故のシーズンです。海と川で80%以上を占める事故…この統計にはありませんが、助けに入水した救助者がお亡くなりになるケースは少なくありません(ゆえに弊社では親子着用を勧める)。
長きにわたり水辺の仕事してきましたので「これで流されると死ぬな」という方々をたくさん見てきました。かくゆう私も万全防御態勢で水中にいる場合においても、何度も死にかけています。ライフジャケットはもちろん完全はないのですが、リスクを減らすうえで親子着用、完全なフィットが不可欠。動画の「はい安心!はい安心!」のところの肩部分を持って釣り上げるのが、チェックに最適です。
とにかく浮かんで助けを待つ。
釣りやキャンプの方々でよく啓発されるのが、流れている人にこれを投げる…というポリタンク、アイスボックス、ペットボトルは有効です。浮力体としてライフジャケットつけていても、投げてあげてください。あ、おぼれている人には無効ですよ、念のために。
川などの場合、慌てる前に周りにある長いものを差し伸べる…これが最も合理的であることもお知りおきください。
桜マークの疑問はまあ、想像がつく
公共団体向けの一括納品が多いライフジャケット…そういう性格を逆読みすると、品質と価格を落として入札納入する必然には利権がつきものです。購入時に「ライフジャケットのつけ方」講習などは、納入者は実施しないでしょう。水辺レジャー向けの桜マークは、ちょっと穿ってみなければなりません。
このあたりの認識を高めなければ、水辺の安心は手に入らないのでしょうか?いまだにライフジャケットが原因で水難事故という事例は聞かないですが、そういった可能性さえ「意識していない」方々が多いのかもしれません。
●参考サイト
「ライフジャケットの正しい使い方」コンナニオモロイ大阪湾https://osaka-bay.net/special/lifejacket-2
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