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神社、祭典行事(神事)の減少、中断、喪失が怖い

国内で神社庁に指定(認宗教年鑑)されている神社の数は平成24年の段階で81,290社だったのが、平成30年では81,060社。200社前後が減少したこといなっていますが、おそらくそれぞれの神社が執り行ってきた祭典行事(神事)の減少はさらに激しいのではないかと推測しています。

コンビニよりい多い神社の数が減少傾向にある

平成27年1月6日、かなりの伝統を持つとみられた大阪府島本町大沢のオトウサイ(御頭祭)を取材した折、偶然にもこのときが大沢のオトウサイ、最後の年となりました。地元の方にそれを現地で教わった折、指先が震えてシャッターが押しにくかったことを覚えています。

神社の数はコンビニより多いというとものすごいと感じますが、大きな神社のなかに複数の神社を備えていたり、神仏習合により複雑な位置づけで発生した神社も少なくないでしょう。ましては過疎のまちの神社などは存在自体が危ぶまれていることも多く、少子高齢化や生活様式の変化は特に、祭典行事(神事)の減少、消失に影響があると考えられます。

消失した大沢村のオトウサイ(御頭祭)

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オトウサイ(御頭祭)とは集落のまつりごとを司る御頭人の交代を毎年1月6日、新年の無事と五穀豊穣祈願とともに奉納します。新しい御頭人は古来、集落の結界となる神木のもとへ行き「サカキ」を立て、今日では豊年を占う神事として弓射神事を、的に見立てた大注連縄の大蛇で行います。

個人的な推測としては淀川へつながる優良な水源地である大沢町(サントリー山崎工場の何とかの水の森がある)における自然信仰が原型で、神典行事などは諏訪信仰につながるとみることができます。由緒正しい神事なのですが大沢は8戸、8家族。この年の数か月前に1戸が移転したということで、氏子の数が足らなくなり、2016、平成27年に神事は幕を閉じることになりました。

弓矢神事と悪霊退散、豊作祈願

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氏子さんが作った的の裏には「鬼」と記された書があり、まさに悪霊退散の祈願。最初の写真で御頭人さんが大切に持ち運んでいるのは御厨であり、これを奉納するオトウサイのタイプは大沢町独自のものでした。御頭人とは輪番制で持ち回る方で御厨を一年間替わりで管理するといいます。

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なお、水無瀬神宮を抱く中世より豊かな水源地として栄えた島本町は淀川舟運の要。対岸には石清水八幡宮があります。さらに淀川三川合流部の右岸に位置することから氾濫など水害も多く、随所に十一面観音をはじめ水に関する信仰の痕跡が目立ちます。江戸時代晩期に大沢の氷室で作られた氷が、大坂へ販売されていたという記録もあります。

少し下がった尺代町では同じオトウサイが盛大に

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こちらはその1年前、水瀬川がながれる尺代において2016平成26年の模様。まだまだ氏子は多く、座の役も多くの方々が関わり贄の奉納もにぎやかでした。13時15分、定刻となり氏神総代(御頭人)を先頭として自治会長、弓持ち、草履持ち、弓うち(御頭人)、お神酒、鏡餅、スルメほか神饌係が整列、諏訪神社に奉納されます。画面左側に、的とジャ(大蛇)も確認できますね。静粛な感じで神賑わいはスタートします。

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奉納、清め祓いの後、和やかなムードで弓射神事が幕開けします。尺代の御頭祭オトウサイ、4人(2地区の前役、新役)の裃をまとった御頭人に決められた本数の矢が割り当てられ始ります。和弓です…イベント用ではなく、神具として遣われるものです。

しかし、コロナ渦の今年1月6日、同様にオトウサイが執り行われるのかはまだ聞いておりません。それ以前に実は尺代自体の少子高齢化が進んでいることは明確です。いつ大沢のように神典行事がなくなるかもしれないのでしょう。実際このころ、島本町の方々に聞いてまわったところ、オトウサイの存在をご存じない方は多かったように記憶しています。

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神典行事はなくなっても神社は残るでしょう。宮司さんは近隣から掛け持ちで重要な神事は行われるのでしょう。ただ、都会の七五三のような晴れやかさは期待できなと思います。神事はヒトがあってカミが居て継続できるものとすると、ヒトが変わっていくとカミもいなくなるのでしょうか?よりどころとしての神社、それを体現できる神典行事…喪失すると本当に、日本の心のよりどころがまた、一つ消失するのかもしれません。

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