「オールナイト」と検索するとオールナイトニッポンばかり掲示され、オールナイトという概念そのものがかなり希薄になっているのかと感じます。確かに24時間営業が常識になったコンビニをはじめ、ネットカフェなど、いまさらオールナイトと誇張する必然は無いのでしょう。ただ…オールナイト上映という文化があったこと、今となって喪失感を感じます。
164分の007新作を観て、手痛い失敗
オールナイト上映を思い出したのは先日、片道50キロをかけてIMAXシアターで最新ボンド「ノー・タイム・トゥ・ダイ」を鑑賞したときのこと。上映時間は164分と2時間44分とかなり長め。「2001年宇宙の旅」が2時間19分、「惑星ソラリス」が2時間45分。それぞれあっという間にお話はすすみ、その長さを意識させない、つまり長くとも十分価値がある作品でした。
「ウエストサイドストーリー」が2時間33分、これらが長編と呼ばれる映画になるかと。そして今回のグレイク最終007。すでに若くないのはグレイクだけではなく、鑑賞している私も、決して若くなかったのです。
「休憩」はしらける。では紙おむつか
わたしは、持病をおさえるために利尿剤を常用しています。もちろんそこそこコントロールして劇場に臨んだわけだが、上映中に席を外すことになりました。これは人生初体験。また見逃しシーンは非常に重要だったようで、そのシーンがわからないため、最後までお話のパズルが組みあがらないというもどかしいことに。
別にグレイクのせいではありません。還暦に近いみなさん、ご注意のほどを。
むかし、2時間を超える映画では「休憩」がありました。3時間27分「七人の侍」では休憩を意識した構成になっていたように記憶しています。しかしアクション系の映画で休憩はいかんでしょう。では選択肢としては「紙おむつ」なのか。これは大英断が必要です。
同じ作品を2回、3回連続で見た時代
シネコンが主流となり全席指定、一回限りの鑑賞があたりまえになった映画。よく考えると封切映画など1回目は座って、2回目は申し訳ないので立ち見して…というようなことは常識であったように思います。そう行くことをした最後の記憶をたどると、2回連続鑑賞経験の最後は「スケバン刑事」1987年1時間40分東映パラスでした。
ミニシアターではごくまれに今でもあるようですが、オールナイト企画というものが懐かしくて仕方がありません。高校時代、友人と阪神百貨店でイカ焼きとビールを大量に購入してクーラーBOXにつめて向かったのは尼崎東宝。「宇宙大戦争」「海底軍艦」「地球防衛軍」のローテーションオールナイト。本多猪四郎、円谷英二のクレジットに拍手の雨あられという独自の文化がありました。
ホクテンザ、天六ユウラク座、ローズ劇場など
巨額の出資が必要なデジタル化について行けず、閉館した映画館はいくつもあります。もちろん成人してからですが、ピンク映画のオールナイトもずいぶん見ました。当時、案外前衛っぽい作品もありましたので。怖い目にあったのはローズ劇場、堂山です。座席は誰もおらず、壁際に数名の中年が立っていて…何も知らずに座席に座ると…恐ろしくて続きは書けません。
うちの近所にもホクテンザ、天六ユウラク座と3館ありました。引っ越す前からここには大変お世話になりました。終電なくなったときとかですね。考えればネットカフェとかもなかったわけで…今はなつかしいオールナイト上映。文化としての灯りは途絶えるのかもしれません。
最悪の思い出もあります。
思い返していて、ヨノナカの絶望感を味わったオールナイト上映がありました。大学時代、年下のちょっとリベラル系の友人に誘われて新京極へ。すでに一度鑑賞済みで、どうしても私とオールナイト上映を体験したかったらしい。
しかしコイツ…次のカットを「上映中に先にしゃべる」最も嫌われるタイプで…さらに作品は「キリングフィールド」という重い映画で…ハッキリ言って逃げ出したくなりました。良くも悪くもですね。
さて…封切作品のオールナイト上映。復活できないものでしょうかね?現在の私の立ち位置から見ると、実現すれば結構な観光資源になる可能性もあるのでは?1本観終わるごとに写メ(表情変化が面白いと思う)撮れるスペースなんか設けて。
さて、ノー・タイム・トゥ・ダイのDVD発売はいつかしら?
ちうか、一週間後に二回目IMAXみてもうたちうねん。