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カーネーション朝ドラへ聖地へ。推進協議会稼働からクランクインまで

2011年10月3日より半年にわたって放映されたNHKの朝ドラ「カーネーション」。ヒロイン発表直後に発生した東日本大震災の影響が深刻化するなかで、若干の変更を加えながら制作は進んでいきます。舞台地となった岸和田市の観光サイトを管理運営している私はそのとき、何を考え、どう動いたか?観光庁長官賞受賞につながった岸和田市の健闘について不定期連載しております。全国のフィルムコミッション、ロケ受け入れ市町の方々の一助になればと思います。

少しさかのぼる1月25日、NHKと岸和田市の顔合わせがあった

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ヒロイン表敬訪問のかなり前、制作発表された10日後にNHK大阪放送局と岸和田市の行政サイド主要関係者とが顔合わせを行いました。岸和田市への何の知らせもなく突如「制作発表」を新聞で知ることになったわけで、NHKサイドからの要望だったと思います。その後において敵対し、理解し、協力する両者…作品の趣旨、NHKから市への依頼事項が出ました。だんじり曳行シーンでは「複数の町の市民で曳行できないか?」という問いに失笑しました。なにも準備できていない…お互いに。

T監督がわたくしが関わった昔の写真の展示会に足を運んでいてくれて「あの世界観を再現したい」とおっしゃったこと、Sプロデューサー曰く「岸ぶらは毎日チェックしています」という発言に、民間人として会議に参加していた私は“救われた”思いがありました。

さて…ここから4月11日、ヒロイン表敬訪問の後へお話は戻ります。

SEO対策とともに、NHKと戦いながらブログ発信

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私としては岸ぶらというネット媒体を担当していたため、そこで市民ライターを含めて扇動を始めます。これは朝ドラ「カーネーション」が番宣(番組宣伝)、もしくはそれ以前の事前告知が始まることに備え、SEO的にブログ記事を仕込んでおく必要があったためです。また猛烈な勢いでTwitterのフォローを獲得することを始めています。

さらに、主人公のモデルである小篠綾子さんの生涯の活躍を正しく発信せねばなりませんでした。アヤコさんと三姉妹に関わる書籍、古本の記事などを片っ端から読みつくし、市民が誇れる土壌を作っていきます。

・「どうするカーネーション<黎明期>」岸ぶら
https://kishibura.jp/blog/umeda/cat156/carnation/page/12

過去作品の舞台地視察や記者発表、会見などを逐一ブログで発信するわけです。もちろんタレントさんの映っている写真はNHK提供、校閲アリ…取材当日書き起こしてもチェックバックは3日後…新聞報道は先行するのでブログの価値は即時的なものにはなりません。このあたりは大変苦しみ、抗議しました。WEB上の写真はコピーガードをつける(キャプチャされれば意味がない)など、今となっては笑えるエピソードです。

ただこの時点で、時代において、まだまだ巨大メディアはWEBメディアをなめていたと思われます。

朝ドラが来る…という事の重大さを発信

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舞台地におけるドラマ推進協議会…こちらの意識向上にも奔走しました。3月1日に開催された本格的な会議の第一回資料ですね。本来なら「カーネーション活用の観光振興対策」…とかダイレクトな表現になるのでしょうけど、「ステップとした岸和田のまちづくり」としています。私の持論である“まちづくり観光”を強く意識しつつ、「岸和田の名が売れたらええな」とか「商店街がにぎわったらええな」という次元ではない提案をぶつけております。

内容は「朝ドラが来る…という事の重大さ」を明記。そしてこれから発生するメディア露出、観光客増加、各種商品化に伴うルール説明、そしてこのドラマを“どない取り込んで活用するか”を書き連ねています。すでにこの時点で、放送終了後についても言及してました。

推進協議会にはNHK大阪放送局の広報部長もオブザーバーとして招聘されており、会議では「岸和田はさすがにすごいパワーですね」と感想を述べておられました。内心では…「このまちは狂っとる」と感じていたでしょう。しかしこの手法は、その後しばらくの間、NHKの地元巻き込みにおける常とう手段に昇華していきます。

「ロゴや商標」の考え方を地元にお伝えする

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勝手にカーネーション饅頭が地元で発生する…そういう事態をきわめて危険視します。また、前回にもお伝えした通り出演者入りのポスター無断掲出の禁止などもご法度であり、それについての理解を過去の舞台地の例をもとに協議会出席者に促しました。まるでNHKの回し者です。NHKに対しては校閲において激突しながら、地元ではNHKを擁護する…苦しい日々でした。

まあ…祭における極めて大切なシンボルである「町紋」がコピーされ、商品化することが日常なまちであり、それは現在の「くまモン」的であり素晴らしいのですが…

推進協議会の独自ロゴ公募、決定から

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綿密な行動計画を立てていくと、やはり旗頭イメージが必要であり、推進協議会のロゴマーク公募、作成を優先しました。基本ロゴとバリエーション…もちろん番組のロゴも挿入できるのですが、厳密なチェックに時間が必要です。

市内企業に声がけして公募したのですが、美術工芸(サインとして見る視点などを強く意識)系の企業は少なく、グラフィックデザインの会社がほとんどでした。推進協議会の上位の方々が決定するのですが、これも…難航しまして…

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ロゴ決定。尾道市さんの実績をベースに展開し、基本的な朝ドラ舞台地告知キットの制作が始まります。このあたりの制作プロセスと成果物は後述する「朝ドラ舞台地ネットワーク」において、継承されていくことになります。

4月…市民広報の場面で意外な出逢いが…

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ロゴなどの印刷物ができるまで、市の観光スタッフが商店街のイベントなどでブース展開を行いました。しかし配布できるものは全くない状態。仕方なく、番組紹介のパンフレットを拡大してパネル設置(もちろんルール違反)を敢行してもらいました。web非接触の市民に知らせたくとも、知らせるすべがない…

実際はツールを作りたくともNHKの監視を逃れて作るすべが見えない…そんな状況でした。無論、若干の補正予算は獲得しましたが新年度の4月、資金もありませんでした。実はこういう草の根的なスタートだったのです。そしてこの日…現場で市民に説明を続けていた私に「岸和田市はどんな準備をしてますか?」と問いかけたお若いご夫婦がおり、進捗状況をくわしくご説明しました。

アンケートも返却いただくと職場欄にK大学。そしてフルネーム…当時は准教授であった吉川さん(仮名)でした。岸和田市の数年間におよぶ健闘を陰から支えてくれた、大恩人となる方です。この連載の後半から登場…

秘密裏に進むロケ準備…

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写真はだんじり会館の営業終了後、大屋根で大工方の練習をつけてもらっている泰三兄ちゃん須賀貴匡さんです。この事実はずいぶん後で知らされました。

私のほうは事務方面でバタバタしており、予算確保のために各種の補助金を引っ張るべく工作。良い反響、悪い反響がはいりだし、取材と地下と、いったり来たり。実は須賀貴匡さんの大工方練習などはNHKと現場担当者の密約のなか、マル秘状態で進んでいたようです。時代考証スタッフとして親しい地元の歴史研究者が複数いたので、ある程度の制作進行状態は把握していたつもりですが、先方も地下活動を各方面で行っていたようです。

すでに現役の五軒家町の大工方が指導していたことを考えると、五軒屋町の地車出演、太秦ロケ準備はかなり進んでいたのでしょう。

また岸和田市では市政施行90周年を翌年に控えてその準備、また、後の主幹観光施設になる道の駅「愛彩ランド」とBMX競技場「サイクルピア岸和田」のオープンが4月にあり、それどころではなかったともいえます。

やがてクランクイン5月12日、伏見にて。

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「初期のロケは取材してもいいです。写真撮ってもいいけど、露出はNHK広報写真のみ」ということでお許しが出て5月中旬、京都伏見、岡山高梁市などでの撮影許可が出ました。写真はクランクインの早朝の伏見。ここはNHK朝ドラでは頻繁に使われている松本酒造酒蔵ですね。初公開、私の撮影した写真。

ミーハーぽく尾野真千子さん、二宮星さんに近づきたい気持ちを抑え、スタッフ数、車両数、電源確保方法、出演者の移動手法、弁当の内容、雨天対応の装備などをチェック。この時点では岸和田ロケは五風荘と旧勘定奉行所(別寅かまぼこ城内寮)が確定していた…さらに岸和田ロケを誘致することが念頭にありました。

この連載は不定期にて継続します。次は京都東映太秦撮影所でのだんじりロケ。そのなかでの地元岸和田市民への認知訴求活動について…続く。


「カーネーション朝ドラへ聖地へ。制作発表から表敬訪問まで」

カーネーション朝ドラへ聖地へ。制作発表から表敬訪問まで

太秦、五風荘、弥栄神社での岸和田ロケから

太秦、五風荘、弥栄神社での岸和田ロケから

 

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