とあるまちからの依頼を受けて、住民主導の生涯学習推進に関わる委員会の委員長を務めております。そこで先日、一つの経験として「住民運動はカンタンに決着しない」というケースをお話しました。その事例について、少々触れてます。私にとっての苦い経験です。
保育園の日照権を守る戦い
2006年3月から約10か月、通常業務をほったらかして署名活動、行政への陳情、周辺住民への訴求に伴うイベント開催、ニュースレター発行、議員への活動支援依頼などなど。自分の使える能力を全開にして、この住民運動を支えました。
わが子が通う保育園のとなりに、突如9階建てのマンションが建設されるというのです。1万筆近い署名を持参し、大阪市長、教育長にも嘆願に行きましたが「民対民の話」として取り合ってくれません。残念なものです。
譲歩案などもゼネコンからは出てくるが
ご近所の模型屋さんが、設計図面をもとになんとボランティアで作ってくれたものです。方角と時間、スケールをあわせ、どのくらいの影が出るのか保護者の方々に観てもらいました。そもそも危機感を感じていただけないと住民運動は成立しませんから。いわゆるジブンゴト化です。
保護者ではない近隣の住民への働き掛けも必要で、チャリティーイベントも毎月開催し、関心喚起に努めました。
ニュースレター、ポストイン
ポストインなど何十年ぶりの経験か。週一程度で取材し、原稿を作成、そしてまちを回る。聞く、話す。○○党の勧誘員とか△△協の布教員か…いわゆる地回りをやってました。
経緯説明。ビジュアル化も大変重要でした。ポスター、署名依頼、情報公開と案外自分が役立つこともわかってきました。
マスコミ連動、デベを追い詰める
複数のテレビ局、新聞社も焚きつけました。まぁ、そもそも弊社の得意ジャンルではあります。このころから関西圏においてこの話題は、一定の認知が出てきたと認識しています。そうなると、市議会員らの反応も肯定的に変わってきます。
ただ同時に、住民の反応に変化が見られました。つい先ほどまで思いを同じくしていた同志が「保育園の対応の悪さ」を攻め始めます。活動開始から9か月ぐらいの話ですが、反動というのでしょうか?メディア露出がかえって変なブーメランを生んでしまいます。
右翼の皆さんからのお誘いもスタート段階から確認されましたが、それとは異なる住民による別の角度の圧力です。
勝ったが、負けた。折れた結末
長い戦いはゼネコンの要望を値切り倒し、保育園運営者の宗教団体が土地を買い取り、増築する案で落着。いまだにこれが良い結果だったのかどうかは、個人的に判断しかねます。また、運動の解散式後、住民による圧力、つまりこの結果を求めなかった方々から私はつるし上げられました。
はたして何のための活動だったのか?保育園のみなさんとは今も仲良くしてもらってます。袂を分けたみなさんとは…道ですれ違っても視線は合いません。ご近所さんなのですが。
かのように住民運動というものは、なかなかしんどいものなのです。ボロボロになる勇気を持たねば、進めるべきではないのかもしれません。
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