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彼のオートバイ 彼女の島 白石島でシマの盆

片岡義男がカワサキの650RS-W3で向かった白石島へ「楽しい渡船」で、彼女ではなく、旧知のノムジイと3泊4日の旅に出ました。白石島へ行くのは実は2回目。20数年前にレジャーボートの売買に関することで立ち寄り、日帰りで帰ってしまったので、印象は薄いままでした。

今回改めて、白石島を探訪する機会に恵まれたたわけです。コロナ感染防止のなか、というよりも20数年の歳月のなか、瀬戸内のコジマは変化もあり、変わらぬこともあり、楽しめました。

港やまちなみみは変わらず インバウンド観光の跡

港やまちなみは変わらず インバウンド観光の跡

行政や地域産業を挙げて、インバウンド観光施設を設置して地域振興をもくろんだようで、当然ながらコロナ渦にて失速。しかしながら、国内滞在している外国人グループ(アングロサクソン系)が二組ほど同じ渡船に乗り合わせました。

全く使えない英語で「何でこの島に来たの?」と聞くと、「ほかに遊びに行くところがないので」というそのまんまの即答。いや、シマに行くこと自体が危険なんですよと言いかえそうになりましたが、自分自身同じでありまする。何も言えません。この島で感染が発生すれば、ヘリコプター移動で隔離です。

写真は行政によるインバウンド誘致とは別で、ここに移住してしまった美しい外国人の運営されるビーチバー。いい感じでした。2晩連続で少しだけお話ししましたが、白石に惚れ込んでいらっしゃるようで、その海外への発信力は観光誘致の相当の支援に結びついていると実感しました。もと、著名なメディア関係者ということでした。

白石島の海

海であそばしていただ 残念だが透明度は低い

ノムジイとスノーケリングを楽しみました。特に目的もなかったので、30分で終わるまち歩きをしたら旅館(民宿でしょ…)でテレビ見て飯を食うしかありません。

白石島が属する塩飽諸島に、実は深い思い入れがあります。白石島の先にある真鍋島は真鍋海賊の発端の地であり瀬戸内少年野球団のロケ地として知られています。ここになぜか関りがあり、中学2年の時に「人生初、離島の旅」をしました。

以降、真鍋島には何度も訪問することになりまして、カヤックを持って楽しませていただいたことがあります。「彼のカヤック、彼の島」です。

スノーケリングでは残念ですが海水の透明度が真鍋島のそれほどではなく、1メートルぐらい。おそらく広島県福山側の湾岸開発の影響ではないかと考えつつ、この日に訪れている方々が結構「岡山に住んでいるが福山で働いてる」方々であったことに納得がいきます。美しい瀬戸内観光にも日常のベーベキュラーがおしよせる、いや目立つようになったということでしょう。

小麦色のビーチ

小麦色のビーチはステキ でも?

ビーチは小麦色。マリンスポーツやBBQ楽しむにはよろしいですね。しかし微小貝を見ると、まあ外来種がほとんど。

これはリゾート法のころ盛んにおこなわれた国家事業でして、海外から海砂を買ってきたというやつです。万葉集に謳われた和歌山県片男波をはじめ、南西諸島、全国各地、日本のビーチは小麦色になりました。これらの輸入海砂が、どれだけの環境負荷を与えているか?国土交通省はもちろん、環境省からのレポートも見当たりません。

いらん推測ですが、セメントを作るのに精度の高い川砂をとりあさった結果、海浜部に砂が行きわたりにくくなり、その穴埋め、砂埋め、生き埋めに、こういった流れになったような。

海鳥のサンクチェアリ

海鳥のサンクチェアリはステキ 岬の反対側も

一応カヤック乗りですので、シーカヤックをお借りしました。ノムジイとツーリング。ちょい300m先の岩礁は海鳥のサンクチャリ。気温が高すぎてここへ集まっているようで、日中は皆さんほぼここで過ごされていました。

上陸して潜ってみると、生態系はゆたか。要するに砂浜周辺に不純物が多いまま、ちと沖合に出ると「生理が働いている」という感じるのでしょうか?訪問したのは2020年コロナ渦のお盆。死ぬほど暑かったわけで、このタイミングが常時そうなのかというと、そうではないと思いますが。

また岬を超えると風景、海の模様は激変します。岬は「曲がり」とか「天狗」とか地名として表されることが多く、海流が変わります(今までカヤックで何度死にかけたことか)。白石もそうで、流れが激しくなる半面、水質は劇的に向上し美しい。

スノーケリングも楽しめました。しかし、このあたりでノムジイが暑さを理由に帰還をご要望…仕方なくUターン。露出している手足をミズクラゲに刺されながら、何匹もウニを確認したのですが…立場上、密漁もいけませんし。なかなか面白いです、白石島。

白石島のシマの盆

「島の盆」に出逢い シマの中学生を憂う

その晩、ビーチでは花火大会が開催されるなか、ひっそりと「シマの盆」が執り行われていました。特に踊りなどの行事はなく(新型コロナ下ゆえ)、つつましいものです。浄土真宗のお経と思われ、西方浄土へ船に乗せた送り火を僧と檀家衆が見送るものでした。今年はお盆も帰れません。

まち歩きしていろいろ伺いました。

この島には中学生が2名だけなのですが、遠隔授業を進めているといいます。そもそもの教育環境は、過疎地にとって厳しい問題があります。別に離島に限らず、ちょっと奈良や和歌山に行けば普通に最重要課題です。まちなかの中学への送迎、時間の異なる保育園への送迎。そして高校入学したら、全寮制。

改めて考えて渡船に乗ると、その時間の感覚、距離感、境界という実感に押しつぶされるようになりながら、ノムジイと笠岡港にたどり着きました。

岡山県塩飽諸島白石島。リモート学習は進みます。小麦色の砂を持ってくるコストは、はたして観光による代謝効果があったのでしょうか?自然環境は生きています。働いています。今年のこの実績からGIGAスクール構想が一挙に進むといわれていますが、やはり違和感を覚えます。

この島へ訪れてみたいと思いませんか?白石島、2名の中学生に逢いに。

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